福祉用具専門相談員について、名前は知っているけれど詳細を知らない人は多いのではないでしょうか。
介護従事者なら、入所者やご利用者の方で杖や車いすを使っている方を必ず見ますよね。
福祉用具専門相談員は、そんな高齢者の日常生活を支えるアドバイザーにもなる役割があります。
福祉用具専門相談員とはどんな資格なのか?この研修を受けるとどのような介護ができるのか?など様々な疑問点についてわかりやすくご説明します。
これからこの資格を取ろうとする方などに役立てていただげると嬉しいです。
1.「福祉用具専門相談員」とは?
福祉用具専門相談員は、福祉用具貸与や販売事業所に2名以上の配置が義務付けられる専門職。
高齢者や障害がある方の要望を聞きながら、最適な福祉用具をアドバイスしたり使い方をレクチャーする業務に携わることができます。
福祉用具とは、介護用のベッドや車いす、杖などのことです。
一口で「車いす」と言っても、小さく折りたためるタイプや車輪が小さいものもあります。
小さい車いすは、アパートなどの狭い居住スペースで使う方や、通われているデイサービス送迎車の車種が日産のマーチクラスの狭い方などは、小回りがきいたり小さくたためないと使いづらいので、好んで使用されているのをよく見かけます。
福祉用具専門相談員の主な業務
- 選定相談
- 計画作成
- 適合・取扱説明
- 訪問確認(モニタリング)
1.選定相談
ご利用者の心身の状態や使用環境などから、福祉用具で解決できることを一緒に考え、一人ひとりにあった福祉用具を選ぶお手伝いをします。
2.計画作成
ご利用者の相談内容にもとづき、福祉用具の利用計画(福祉用具サービス計画)を立てます。福祉用具の利用計画をたてて、担当のケアマネージャ―と連携を取ってサポートしていきます。
3.適合・取扱説明
ご利用者のからだの状態や使用環境に合わせ、福祉用具の調整をおこないます。また、福祉用具を安全かつ有効に使っていただけるよう、取り扱いについて説明します。
4.訪問確認(モニタリング)
定期的にご利用者宅を訪問し、福祉用具の点検や使用状況の確認などをおこないます。使い続けていくうちに劣化していないかなど、安全性や衛生面などもチェックします。
2.どんな人が取得しているの?
福祉用具貸与や販売事業所に勤務している方が取得するほかにも、現在は、介護士が、スキルアップとして福祉用具専門相談員を取得するケースも多くみられます。
介護現場でみられる事故報告やヒヤリハットでは車いすや杖の向き、使い方を知らずにアクシデントにつながることもあります。介護現場でも、福祉用具を正しく最適に使うことがいかに重要かうかがえます。
3.「福祉用具専門相談員の資格」取得の方法は?費用は?
では、福祉用具専門相談員になるためにはどうしたらよいのでしょうか?費用や期間、福祉用具専門相談員の資格取得のルートをご紹介しましょう。
福祉用具専門相談員の資格取得方法は?
福祉用具専門相談員の資格を取得するには、2通りあります。民間の資格スクールで勉強するか都道府県知事の指定を受けた研修事業者が実施する「福祉用具専門相談員指定講習」を受講するパターンです。
いずれも講習は、50時間のカリキュラムになっており、修了すれば福祉用具専門相談員として認定されます。民間の資格スクールは、インターネットで検索すればすぐに確認できます。
都道府県知事の指定を受けた研修事業者が実施する「福祉用具専門相談員指定講習」については、各都道府県のホームページに載っていますので確認してみましょう。
福祉用具専門相談員の資格期間の目安は?
スクールによって差はありますが、最短で6日間、 最大で3週間ほどです。先述した通り、50時間のカリキュラムはどこのスクールも変わりません。
福祉用具専門相談員の費用は?
金額もスクールによって、大きく変わりますが最安で3万円台、 最大で7万円ほどです。
三幸福祉カレッジ | 東北福祉カレッジ | 福祉用具専門相談員指定講習 | |
---|---|---|---|
取得期間 | 週に1回×7日間 | 週に1回×7日間(夜間コースは14回) | 週に1回×7日間 |
費用 | ¥64,000 | ¥49,990 | 各都道府県によって差があり¥40,000~60,000 |
福祉用具専門相談員の取得条件は?
福祉用具専門相談員の取得資格条件はありません。どなたでも講習を受講すれば、取得することができます。
4.福祉用具専門相談員になるメリットは?
では、実際に福祉用具専門相談員として活動するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
福祉用具専門相談員になるメリット
- 福祉用具の正しい使い方がわかる
- 就職先の選択肢が増える
- 介護者への身体の負担を減らせる
1.福祉用具の正しい使い方がわかる
介護現場にある福祉用具の扱い方が分かるようになり、介護の知識が深めることができます。また、実際に介護従事者なら、ケア中のミス(車いすの操作ミス・四点杖の扱い方など)もこれまで以上に防げますね。
2.就職先の選択肢が増える
福祉用具専門相談員は、介護現場だけではなく福祉用具取扱店(ホームセンター・ドラックストア)や建築・リフォーム事業出のバリアフリー化などでも需要があります。
3.介護者への身体の負担を減らせる
介護される側と介護する側の双方の立場を学ぶことで、介護者の身体の負担を軽減させるアドバイスができる。コミュニケーションスキルがあると更にやりがいが、感じられるでしょう。
まとめ
福祉用具専門相談員として働くことは正直、介護士初心者の方には、オススメ出来ません。
福祉用具専門相談員が特に必要となる福祉用具サービスの会社の場合、業務は主に営業などで外回りが主になる方が多いです。
運転免許、初任者研修などの基本的な資格を持った方が、福祉用具専門相談員の資格をとる、という形でないと福祉用具サービス業への就職は難しいかもしれません。
また、介護施設などで働く介護士が、福祉用具専門相談員の取得により、給与が上がることはほとんどありません。
しかし、給与面以外を考えればメリットもあります。
今、多くの施設が制度改正で収益が取れず業種を変えたり、サービスを増やしたりなど生き残りのために試行錯誤をしています。
多くの施設では、介護士たちのための勉強会を開いています。
基本を振りかえったり、新しい制度を学んだりと様々です。
このような勉強会の中に福祉用具専門相談員がいれば、車いすの操作や杖の正しい高さなどを、介護士の方に広めることができます。
福祉用具専門相談員の資格は、基礎となる初任者研修を修了した上で取得するのであれば、活躍できる場もあると思います。