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少子高齢化の影響で広がるシニアマーケットと介護業界との関係

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1.高齢者は何歳から?社会的な定義と世間の認識

「高齢者」と聞くと、皆さんは何歳の人を想像するでしょうか。定年退職を迎える60歳、年金支給が始まる65歳、あるいは70歳、80歳と答える方もいるかもしれません。

一方で、日本の70歳以上の方は自らを「高齢者」などと呼ばれることを嫌う傾向があります(まあ、当然と言えば当然ですが・・・)。内閣府が実施したアンケート調査(高齢者の日常生活に関する意識調査)によれば、70~74歳の約半数、75~80歳の約4分の1が「自分を高齢者だとは感じない」と回答しています。

日本の社会保障制度においては、高齢者は65歳以上とされています。これは、社会保障制度が始まったとされる昭和35年頃の男性の平均寿命が65歳程度であったことに由来します。しかし、現在の男性の平均寿命は81.09歳(2017年簡易生命表より)と、当時より15年以上延伸しています。それでも、社会保障制度上の高齢者の定義は65歳以上のまま変更されていません。

これに対し、2017年1月、老年学を研究し進歩発展を図ることを目的とする「日本老年学会・日本老年医学会」が、近年の高齢者の心身の健康に関する種々のデータを検討した結果、現在の高齢者は10~20年前と比較して加齢に伴う身体的機能変化の出現が5~10年遅延しており「若返り」現象がみられると発表しました。そして、これを踏まえ、従来、高齢者とされてきた65~74歳を准高齢者(pre-old)、75~89歳を高齢者(old)、90歳以上を超高齢者(oldest-old, super-old)と定義変更すべきであると提言し、話題になりました。

2.今後、更に広がるシニアマーケットの特徴

このように、「果たして高齢者はいくつからなのか」という問いには、明確に一つの答えを見出すことが難しそうですが、仮に60歳以上をシニアと呼ぶとすると、少なくとも、元気でアクティブなシニアは以前に比べて増加していると考えられます。そして、現在の日本はこのシニアに資産が集中しています。

財務省が作成した資料(2015.10.27内閣府 第25回税制調査会財務省作成資料)によると、年代別の金融資産残高のうち、60歳代以上の保有割合は、1989年から2009年までの20年間でほぼ倍増しており、個人金融資産約1,700兆円のうち約6割(約1,000兆円)の資産を60歳代以上が保有しています。

これが、近年、シニアマーケットが魅力的であると捉えられている理由ですが、実は、「シニアはお金持ちで消費に積極的」と単純にとらえることは適切ではありません。

例えば、60歳で定年退職を迎えると、退職金などで金融資産は増えますが、所得は急激に減少します。そして、シニア層の消費は資産ではなく所得に比例する形で推移する傾向があり、住まいや車などをサイズダウンする形で買い替え、日々の暮らしにかかる出費を抑える「ダウンサイジング消費」が発生します。

また、シニアには他の年代にはない、老化に伴う身体の変化というものがあります。例えば、体が不自由になって外出が困難になれば、移動や生活支援に関するコストが発生し、要介護状態になれば、介護に関する費用が発生します。こうしたライフステージにより、消費の向く先が大きく変化する特徴があるのです。

3.介護業界のニーズとの関係性

では介護業界はどうでしょうか。介護業界は利用者のほとんどがシニアであり、シニアマーケットの代表格と言っても過言ではないでしょう。

増加する元気でアクティブなシニアも、やがて老化に伴いサポートが必要になったとき、介護サービスを使います。したがって、シニアマーケットの拡大は、介護業界にとってプラス要因となります。

また、シニアになってもダウンサイジングしない消費の一つに「教養・娯楽費」がありますが、価値観が多様化するシニア市場において、たとえ介護状態になったとしても、趣味や好きなことを続けたいというニーズは、今後益々高まっていくと考えられます。

例えば、要介護状態になっても、介護専門職が付き添いすることで、旅行の趣味を実現するなど、シニアが最期まで楽しめるようなサービスを、介護業界とコラボレーションして取り組んでいる事例もあります。こうした、他業種とのコラボレーションという観点から、将来性が高い業界であるといえます。

更に、介護業界が他の業界と比較して特徴的な点は、公的財源を活用した社会保障制度がベースとなっている点です。公定価格で全国一律のサービスを提供するという点では、競争が制限される分、一定の保護がなされているため、安定的な業界といえます。

4.まとめ

今、シニアマーケットの拡大をビジネスチャンスと捉えて、様々な業界が取り組みを展開しています。しかし、目を凝らすと、シニアのニーズは同じ種類が集合したマス・マーケットであるというより、多様な価値観や身体・生活の変化など、様々な要因からなる個別ニーズの集合体であるといえるため、攻略は簡単ではありません。

一方で、介護業界は、誰もがやがて訪れるであろう介護という共通のニーズがベースとなっており、更には、今後、様々な業界とのコラボレーションも期待できる将来性の高い業界です。

業界の将来性を考えて仕事選びをするならば、選択肢の一つに加えて検討してみてはいかがでしょうか。

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