長年介護業界で働く筆者も、「転職した施設が、夜勤明けが公休扱いになっているんだけど、これって違法じゃないの?」などと元同僚から尋ねられることがあります。
確かに、夜勤明けの翌日が休みになっている施設もあれば、夜勤明けの翌日には勤務が入っている施設もみかけますよね。
結論からお伝えすると、夜勤明けを公休とすること自体に、違法性はありません。
ここでは、夜勤明けの公休とするシフトに対する法律の見解と、夜勤明けのシフトに配慮のない事業所への入職を避けるためのポイントをご紹介します。
夜勤明けを公休とすることに違法性はない理由
夜勤明けを公休とすることに違法性がないその理由は、勤務終了から次の出勤まで、どれぐらいの時間を空ければ良いか、決まりがないためです。
では、夜勤明けを公休とされて、過酷な労働環境下でガマンするしかないのか?というと、そんなことはありません。
労働基準法では、休日と労働時間について、以下のルールがあるからです。
- 公休…1週間に一回の公休・4週間に4回の公休を取得する
- 労働時間…1日8時間・週40時間を上限とする
たとえば、月曜から金曜までの5日間、一日8時間勤務を続けた場合、土曜日・日曜日は休日としなければ、週40時間のラインを越えてしまいます。
世間一般的に、会社員が週休2日制となっているのは、この法律に則っているためです。
介護のお仕事も、このルールが適用されますから、夜勤明けを公休扱いとしたとしても、一週間の中で「週に一回の公休」があり、「週40時間以内の労働時間」であれば、違法ではないんですね。
たとえば、下表のように、夜勤明けの水曜から木曜の日勤までの空きが24時間以内であっても、週一回以上の公休を消化しており、実働時間は週40時間以内となっているため、違法にはなりません。
曜日 | 勤務形態 | 勤務時間 | 休憩時間 | 実働時間 |
月曜 | 早番 | 7:00~16:00 | 1:00 | 8時間 |
火曜 | 夜勤 | 17:00~24:00 | 1:00 | 6時間 |
水曜 | 夜勤明け | 00:00~10:00 | 1:00 | 10時間 |
木曜 | 日勤 | 9:00~18:00 | 1:00 | 8時間 |
金曜 | 公休 | |||
土曜 | 11:00 | 20:00 | 8時間 | |
日曜 | 公休 |
夜勤明けを公休とする事業所に入職しないための3つのポイント
これまで、夜勤明けを公休扱いすることに違法性はないお話をいたしました。
とはいえ、私たちも生身の人間ですから、シフト作成に配慮をしない事業所で働きたくはないですよね。
これから、夜勤勤務のある事業所へ、求人応募や面接を受ける方は、以下の3つの点をチェックしてください。
- 採用面接時に夜勤明けの扱いを聞いておく
- 120日より105日程度の休みの事業所の方が休める可能性が高い
- 8時間夜勤と16時間夜勤なら16時間の方が休める
採用面接時に夜勤明けの扱いを聞いておく
面接時に、夜勤明けの介護士は翌日に公休としているかどうかを確認しておきましょう。
了承が得られるのであれば、実際のシフト表を見せてもらうのが確実ですね。
自分からは聞きづらいと感じる方は、転職エージェントを利用するのがオススメです。
120日より105日程度の休みの事業所の方が休める可能性が高い
求人を見る際に注意したいのが、『年間の休日数』です。
「休みは多ければ多い方が良い。105日休日の事業所よりも120日休みの事業所の方がいい」(デイケア・デイサービスを除く)
「給与は、平均並みだから大丈夫そう」
このように、求人をみて入職を判断してしまう方も多いのではないでしょうか。
求人では、しばしば夜勤明けの日を休みにカウントしている事業所がみられます。
先述したように、1週間に一回の休日、または4週間に4回の休日があれば問題ないので、このような求人は違法ではありません。
たとえ、月40時間超えてしまっても、超過分を夜勤手当や職手当などで補填すれば問題にはなりません。
休みが少なそうに見える年間105日前後で求人を出している事業所の方が、夜勤明けとは別に休みを設けていることが多いです。
求人は、見出しだけではなく詳細部分も必ず確認しましょう。
8時間夜勤と16時間夜勤なら16時間の方が休める
夜勤のパターンは事業所によって違いがありますが、主に8時間と16時間の2パターンが多いですよね。
16時間夜勤と8時間夜勤のメリットデメリットは、以下のようになります。
16時間夜勤の場合
例:17:00~10:00(休憩1時間)
メリット
- 夜勤明け後、次の日も休みが取れる
- 夜勤明け後、2連休だと3連休のように感じられる
デメリット
- 夕食~次の日の朝食・臥床(※ガショウ:床につくこと)までの業務をこなさなくてはならない
8時間夜勤の場合
例:22:00~7:00(休憩1時間)
メリット
- 身体的に負担が少ない
デメリット
- 夜勤明け後次の日が出勤になる
- 疲れが取れにくい
実際に8時間、16時間の夜勤をしている介護士の声も参考にしてみてください。
えーっと…私も8時間夜勤(準夜勤とか深夜勤とか言うんですよね)を経験してきました。
業務内容以前に、なんだかシフト上で詐欺にあっているような気分でしたねぇ。「休み」って言われても、実質充実した休日って感じがしません。だって寝てないんですから。
身体的にきつかったです。
引用:カイゴジョブ
現在8時間夜勤に慣れてしまって、また16時間夜勤のきつさに戻れるかといわれれば非常に迷うところです。
引用:カイゴジョブ
8時間でも16時間でも夜勤は人手が少なくなるので心身ともに重労働。自分に合った夜勤をみつけることが夜勤をこなすポイントと言えますね。
シフトへの不満・夜勤による体調不良を解消するためには
勤務体系や、公休に関するルールは、各事業所で違います。
今現在も人手不足だから仕方がないとガマンして、待遇が悪い事業所にとどまることはおすすめできません。
待遇が悪いと感じながらも仕事を続けると、健康を損なうリスクが伴います。
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筆者の周囲の施設で待遇が悪い事業者の中には、上層部が総入れ替えされたこともありましたが、待遇が改善されるケースは残念ながらみたことがありません。
夜勤がキツくて退職したいけど、夜勤手当収入がなくなるのが困るという方は、転職するのも一つの手段です。
しっかりと休みがとれる勤務体制の事業所に転職すれば、収入を落とさず介護士を続けられます。