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多死社会の到来と介護現場を変える新たな動き「看取り」への期待

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1.少子高齢化の副作用、多死社会の到来

厚生労働省が今年発表した人口動態統計によれば、1年間に誕生した子どもの数は94万6060人と過去最少となりました。一方で、死亡数は134万433人で戦後に入って最多となっています。この両者を差し引いた数、つまり人口が減少した数は、39万4373人で、過去最大の減少幅となりました。前年の減少幅は33万770人でしたので、人口減少のスピードも加速化していることがわかります。将来推計をみると、2030年には、死亡数は出生数の2倍程度に上ると見込まれています。

少子高齢化問題については、日本における代表的な社会問題として、様々なところで取り上げられていますが、実はその副作用として訪れる多死社会が私たちの生活に大きな影響を及ぼすことは意外と知られていません。

首都圏などの人口密集地域では、既に火葬場が足りなくなっており、特に公営斎場は予約が取れないほど混み合っている状況です。近隣住民の反対運動により、火葬場の新規の建設が難しくなっている現状もあります。近い将来、火葬場の予約が取れず、ご遺体を長期間安置するための場所の確保や、遠方の火葬場まで輸送する必要性などの問題が表面化するかもしれません。

多死社会を迎えることで直面する課題は、火葬場の問題だけではありません。増加する医療ニーズに伴い病床数が不足してくると、介護分野での受け皿の問題や、終末期医療の供給力不足などの医療分野にも影響を及ぼすと考えられます。

2.医療は万能であるという誤解、長生きした末に辿る結末

点滴ポタポタ
このように多死社会を迎える中、自分がどのような死を迎えるのかを考える人も増えているのではないでしょうか。考えるきっかけは、親族の死に直面したときに訪れます。

世界に冠たる長寿国家である我が国の実態として、終末期に寝たきりになり、人工呼吸器や人工栄養などの延命治療を尽くされ、辛く苦しい壮絶な死を遂げるケースが少なからず存在しています。そして、そのような最期を迎えた方の家族は強い後悔の念に苛まれ、自分はこのような最期を迎えたくないと強く決意するのです。

なぜ、このようなことが起こっているのでしょうか。そこには医療への誤解と過信があります。そもそも、医療は病気や怪我を治すためのものですが、歳を取ることによる経年変化から体の機能が衰えることは、病気ではありません。最愛の家族が寿命を全うしようとするそのときまで、周囲は医療に解決を求めようとするのです。

最期を迎える準備に入った90歳の高齢者でも、微熱が出たり、咳が出たりすると、心配する家族は病院に連れていきます。この行為そのものが医療に解決を求めるという判断、ひいては延命治療のスイッチを押すのと同じであることに、この時点で気づく人は少ないでしょう。医師によって回復する見込みがないと判断され、最期が迫ったときにできる医療措置は、人工呼吸器や人工栄養などの延命治療しかありません。

また、容態が急変した際に咄嗟に救急車を呼んでしまうと、意図せず不要な延命治療が行われる場合や、救急隊員による心肺蘇生が行われた結果、肋骨が折れて肺に突き刺さり、痛ましく苦しい最期を迎えることになる場合もあります。当然、家族には強い後悔が残ります。

3.「看取り」の必要性と介護業界への期待

老人ホームのロビー
では、本人や家族が後悔することなく、幸せな最期を迎えるにはどうしたらよいのでしょうか。日ごろから、家族やかかりつけ医としっかりコミュニケーションを取り、口から食事ができなくなったらどうするか、延命治療を希望するかどうかなど、終末期における本人の本心を周囲と共有化しておくことが大切です。病院に運べば医師が何とかしてくれるというのは錯覚であり、医療の過信にほかなりません。

そして、本人と家族の意向を叶えることができる環境をあらかじめ検討しておくことも重要です。日本では、病院以外で最期を迎えたいと考える人が半数以上であるにもかかわらず、8割弱が病院で最期を迎えているという現状があります。このような中で、介護業界において、介護施設での「看取り」が注目され始めています。

介護報酬で加算評価が設定されていることから、看取りに対応している介護施設が増えてきていますが、実態はピンキリであり、苦情やトラブルも少なからず発生しています。本人と家族の意向を叶えられる、確かな看取りに対応した介護施設かどうかを見極めるには、これまでの看取りの経験も含めた実績と、希望を踏まえてどのような看取り介護の計画策定と対応をしてくれるかを、施設の職員としっかり対話したうえで判断することが重要です。

そして、人生の最期の現場には、必ず奇跡的で感動的なドラマがあります。そのような職場で働くことは大きな魅力の一つでしょう。確かな技術と経験から、看取り介護で有名になったある介護施設では、就職を希望する介護職員が後を絶たないことから、入社を断っているそうです。これは、介護人材不足で有効求人倍率が3倍を超える介護業界ではかなり異例のことです。

4.まとめ

ラベンダー畑と一本の木
独居高齢者が増える中、最期を迎える場所の選択として、介護施設を選ぶ人は今後も増加していくと考えられます。いまだ発展途上である看取り介護に取り組む施設で働くことは、介護職としてのキャリアアップだけでなく、人としての成長や新たなビジネス創出へも繋がる大きな可能性を秘めているといえるかもしれません。

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