毎年、インフルエンザが流行しますよね。この流行の原因の一つが、予防対策や予防接種などの不徹底などが挙げられます。最近では、沈静化していた麻疹(はしか)が流行し現在も、猛威を振るっています。
流行する感染症は、短期間で多くの感染者を出すことが多いですよね。特に駅や電車、バス、病院など人が、集まる場所は感染のリスクが高くなりがちです。
介護施設も例外ではなく、毎年インフルエンザやノロウイルスによる感染が確認されています。
免疫力の弱い高齢者は、感染症にかかりやすく、介護士たちは感染症にかかった高齢者もケアしなくてはなりません。
感染した高齢者をケアして感染する介護士も多く、介護士から他の高齢者にうつしてしまうこともあります。
感染症対策は、介護士の業務の一つです。トイレ介助、入浴介助を学ぶと同時に感染症の知識を身につけるべきです。今回は、介護士だからこそ知っておくべき感染症対策と心得を紹介します。
1.介護士が行うべき3つの感染症対策
体力や免疫力が弱い高齢者は、感染症のリスクも高くケアにあたる介護士も感染する危険性があります。時には、介護士から高齢者に感染してしまうこともありますので、感染症の対策は大切なポイントです。
感染症の対策は主に以下の3つです。
①正しい知識を身につける
②しっかりと予防する
③感染拡大させない
1-1.正しい知識を身につける
感染の症状や潜伏期間を知ることを適切な対応につながりますよね。自分の身の回りで感染症が発生すると、過度に予防したくなります。正しい知識を身につければ、余計な感染予防対費の原因になったり人間関係をギクシャクさせることもありません。
おさえておくべき感染症知識のポイント
- 感染経路(どこから持ち込まれたのか知ることで対策を考えられます)
- 潜伏期間(発症までの潜伏期間を知れば原因が突きとめられやすくなります)
- 症状(微熱や発疹ができた部位などで早めの対応ができます)
厚生労働省からは、高齢者施設向けのインフルエンザの感染拡大防止の動画がでています。
1-2.しっかりと予防する
免疫力の弱い高齢者をケアするプロだからこそ、しっかりと感染予防したいですよね。そのためには、まず自分が感染しないことが大切です。日ごろからの体調管理や人混みが多い場所に行く場合はマスクを着用しましょう。
自分を守るための感染予防方法
- うがい薬を使ってうがいをする
- うがいは口の中、喉の奥まで届くようにうがいをする
- 生ものには気を付ける・または摂取しない
- 栄養バランスがとれた食事
- マスクを着用する
- 手洗いを正しく行う
厚生労働省の『政府インターネットテレビ』ではインフルエンザ予防の動画内に、正しいマスクのつけ方などを紹介していますよ。
1-3.感染拡大させない
どんな感染症でも、最初の感染を発見した際に、正しい対処をすることで、感染拡大を防ぐことが大切です。
介護士である自分が感染してしまった場合は、たとえインフルエンザではなく風邪だったとしても、無理をせず休みを取りましょう。
感染症にかかりやすい高齢者にとっては風邪も大敵。風邪をこじらせて肺炎になってしまう高齢者もいます。
「人がいないから、出勤しなくちゃ」と解熱剤を飲んで出勤する人もいますよね。筆者も人数不足が深刻な施設に勤務していたので、出勤したい気持ちは痛いほどわかります。自分が担当のクリスマス会当日だったとしても、「今日に限って……」と悔やむような日だったとしても休むべきです。
プロだからこそ、仕事を休む。感染症の怖さを知っているからこそ、休むべきなのです。
2.すぐに実践できる感染症対策!正しい手の洗い方知っていますか?
何気なく使っている手は、ウイルスが付きやすい部分です。咳やくしゃみで口を抑え、その飛沫で感染してしまいます。
出典:東京都福祉保健局
3.介護士あるある「ユニホームのまま帰る」は危険
情けない話うちのグループホームでは出勤した服装での勤務が当たり前です
私は出勤する時の服と仕事用の服を分けて会社で着替えていますが入社した当初はビックリしましたがホーム長が出勤するときの服のまま現場に出ているので注意のしようがありません
でも私は出勤するときの服で現場に出てそのままの服で帰宅はだんじて反対ですけど
恥ずかしいですが
うちのホームはこんな現状です出典:けあとも
介護施設で、よくある光景ですが仕事が終わるとユニホームに上着を羽織って帰る方が多くみられます。ユニホームのまま帰宅することは、施設内の汚れや持ち帰ることになります。感染症のリスクを身につけて帰るようなものです。
必ず、脱いでユニフォームを袋に入れて自宅で洗濯するか、施設によっては洗濯してくれるところもありますので活用しましょう。
筆者が勤務した施設では、感染症対策委員会などの勉強会が開催されることで、ユニホームのまま帰宅する介護士は随分減りましたが、まだまだユニホームのまま帰宅する方は多いようですね。
4.実際に働いている介護士は施設で感染症にかかったことある?
筆者は10年介護士をしておりますが、ノロウイルスやインフルエンザ等にかかったことはありません。勤務していたデイサービス内では、介護施設から感染がした人はいませんでした。
しかし、以前勤めていた入所の方では、感染症の疑いのある介護士がでていました。感染症の侵入経路は、外泊された入所者さんだったようです。特に、感染力の高いノロウイルスは、1人発症すると収束するまでにかなりの時間と労力が必要になります。
終息宣言が出るまで1ヶ月半かかりました。終息宣言がでるまで、担当の介護士たちがクタクタになっていました。介護士の仕事につくとで、感染症に絶対にかからないとは言い切れません。特に、一人目の発症時の対応で感染の拡大が左右されます。
何気ない嘔吐処理のはずが、「まさかノロウイルスだったとは」というケースが多くみられます。最近は、施設内に感染症委員会などが立ち上がっています。
定期的な勉強会の開催で、介護士だからこそ感染症の正しい情報が身につけることができます。
5.国が定める「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」

介護施設の集団感染予防のために、国から「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」が出ています。マニュアルには、ノロウイルスやインフルエンザの基礎知識や感染拡大の予防法などが盛り込まれています。特に、P44にある「感染症発生時の対策」は介護士にも参考になります。
施設で行う感染対策員会の勉強会にも使える内容になっています。感染症の拡大防止策や日ごろの予防の大切さなど、分かりやすく載っています。
6.持ち込まない・拡げない・持ち出さない
感染症は、主に冬のインフルエンザ流行の時期にメディアなどで多く取り上げられます。しかし、感染症は冬だけではありません。夏場の食中毒や海外からの予期せぬウイルスなど一年を通して感染症への対策が大切です。
感染症対策の基本は、「持ち込まない・拡げない・持ち出さない」です。施設で感染症患者が出たら、大切なのはそのあとです。
✅感染を拡大させないこと
✅終結したら今後は感染症を持ち込まない・拡げない対策を練る
あなたの施設の感染症対策の参考になれば、幸いです。