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【イライラしたら介護士失格ですか?】私たちが抱く負の感情と上手に付き合うために

投稿日:2018年8月5日 更新日:

私が介護士として働いているとわかると、たいてい「すごいね」「尊敬しちゃう」などの言葉をもらいます。すごくもなければ、尊敬されるほどのものでもありません。

しかし、なぜ世間では「介護士」に対してそのようなイメージを持っているのでしょうか?きっと、過酷な勤務の中で、お年寄りに笑顔で優しく接することができる神様か仏様のような存在とでも思っているのかもしれません。もしくは、そうあることが当然で、疑いもしないのかもしれませんね。

けど、残念なことに介護士だって人間です。喜怒哀楽があって怒りを感じることも当然あります。逆になかったら大変です。

過酷勤務の中で、利用者様のわがままに付き合いイライラすることがあっても人間として当然の感情なのです。激務の果てに殺意さえ頭をかすめるような状況が、介護の現場では24時間ノンストップで繰りひろげられています。

実際、介護疲れの子どもが、認知症の親を殺してしまう事件や、介護士の利用者様に対する暴力・殺人事件が起きていますよね。

そうはいっても、あなたの感情を利用者様にぶつけてはいけません。介護のプロとしては失格です。感情はコントロールできます。それを身につければいいのです。

思考のクセを直してネガティブな感情に走らない

思考にはクセがあります。あなたの思考のクセを直してみませんか?

たとえば、あなたが水の入ったコップを落としたとしましょう。床は水浸し、コップは割れてしまいました。こんなとき、あなたはどんな感情が湧いてきますか?

コップを落としてしまった自分に怒りを感じる人、自信喪失してしまう人、形あるものは壊れると楽観的な人、しばらく掃除してなかったしな、掃除するチャンス到来!と思う人。さまざまな人がいますよね。これが思考のクセです。

思考のクセは、あなた次第で変えられます。利用者様に何度も同じことを聞かれたとき「何回も言わせないでよ!」と思えばイライラしてしまいますが「あ、また忘れちゃったんだな。」と思えば、もう一度教えなくちゃと思えるものです。

あなたは、どんな思考のクセを持っていますか?ポジティブな考え方をするクセをつけてみましょう。

介護拒否って利用者様のわがまま?

「介護拒否」と聞くと、介護士サイドから発せられた言葉であることがわかります。

それ本当に介護拒否ですか?

もしかしたら、コミュニケーション不足が原因かもしれません。利用者様に、あなたがこれから何をしようとしているのかが伝わっていないだけの可能性があります。

たとえば、利用者様がどこに連れていかれるのかをわかっていなければ、嫌がることは当然ですし、なぜ服を脱がされているがかわかっていなければ嫌がって当然ですよね。

分刻みで一日のスケジュールが組まれている介護の現場。「仕事が早い=できる介護士」の風潮は残念ながらあります。けど、仕事が早いということは、利用者様置いてきぼりの職員中心の介護であることが多いです。かといって、利用者様中心だと仕事がまわらない現実。

こんなときこそ焦りは禁物。しっかりと、これから何をするのかを利用者様に伝えてください。

高齢者の方は、速いスピードで話しかけられても理解できません。まして、いろいろな事情で理解することが困難な方ならなおさらです。

焦っているときほど、ゆとりを持って深呼吸。コミュニケーション不足からくる介護拒否を避けられます。

暴言・暴力がひどい利用者様

暴言や暴力が酷い利用者様に対して、一緒になって暴言で参戦するわけにもいきませんし、叩かれたから叩き返すわけにもいきません。これは、もう修行僧のごとく耐えるしかないです。

興奮している人の前では、つられて自分も興奮してしまうことは多くありますが、とにかく気持ちを落ち着かせて一緒に興奮しないことが一番です。

声のトーンも普段より落として低い声で対応したり、抑揚をつけずに一定の話し方をすることで、興奮を助長させないで済みます。一歩引いたところから冷静に利用者様をみるといいですよ。そうすることで、自分も一緒に興奮することを防げます。

また、暴言・暴力がひどい人は、介護士が逃げたり怖がるのを見て余計にその気になることもありますので、怖い気持ちはわかりますが、必要以上にオロオロしないことが大切です。

また、暴言を真に受けないことです。たとえば、認知症が原因であなたに暴言を浴びせているとはいえ、真剣に聞いているとこちらもイライラしてくるものです。話半分もしくはそれ以下で聞いていて十分です。

私なら、聞いているふりをしてぜんぜん違うことを考えたり、ドラマの台詞と思って聞くようにしています。そうでもしなければ、こちらの心が傷つきます。

もう一つ、自分は利用者様の暴力をかわしたのはいいけれど、それが原因で利用者様がバランスを崩して転倒したら大変です。気をつけましょう。

セクハラ行為がひどい利用者様

これは、本当に嫌ですよね。複数の職員がいる施設なら、男性職員に代わってもらったり、二名体制で介助にあたるなどしましょう。ただ、訪問介護になると、二名体制の介助は費用の面からも対策として現実的ではありません。

そのためにも、介護士側がセクハラを受けた場合は、我慢せずに上司に報告することが大切になってきます。そうすることで、カンファレンスを開いてもらうこともできますし、チームで対策をしっかりと立てることができます。

特にセクハラ問題は、セクハラ行為を受けた側に「恥ずかしい」という気持ちが生まれてしまいます。しかし、セクハラ行為で困っているのはあなただけではないかもしれません。勇気をもって上司に相談してください。

また、介護士というプロの目線で「セクハラ行為」をとらえると、少し違ったものが見えてきます。「セクハラ」と思うのではなく「BPSD」(認知症からくる症状で、幻覚や抑うつ、徘徊などのさまざまな症状)として考えることができますよね。

「BPSD」と考えた場合は、あなたが我慢していればいい問題ではなくなります。医師の診察や、対策をケアプランに盛り込む必要もでてきます。

認知症の方への対応

介護拒否、暴言・暴力、セクハラ行為の多くは、認知症が原因であることが考えられます。介護士を困らせる利用者様の行動ですが、病気がそうさせていると考えると、しょうがないなと思えませんか?

ずいぶん前になりますが、私は精神科の医師からこんな話を聞いたことがあります。

 

「癌患者が痛い痛いとうなっていても『うるさい!』と言う人はいないのに、認知症患者が何度も同じことを聞いてくると、どうして『うるさい!』と思うのでしょう。どちらも病気なのに不公平ですよね。」

 

本当ですよね。私はこの言葉を聞いたときから、認知症の方に同じことを繰り返し聞かれてもイライラしなくなりました。

自分の中で、認知症に対する考え方を大きく変えることができたのです。介護福祉士になって10年くらい経っていたころだと思います。

要するに、恥ずかしい話ですが介護福祉士としての10年間は認知症の方に、明け方まで「子どもが学校から帰って来るんです。家に帰らなければいけないんです。」と繰り返しいわれてはイライラ。5分おきに「トイレ」といわれればイライラしていたということになりますね。

実際、調べてみると、同居しているご家族様や介護士の多くは、認知症は「忘れてしまう病気」とわかっていてもイライラしてしまうことが多いようです。

(※一部抜粋)

「何ですか。僕しかいてないんです」「用ないねんから鳴らさんといて。困らせんといて」

何度コールをしないよう懇願しても、1分もしないうちに次のコールが響く。ヘルパーは次第にいらだちを募らせ、インターホン越しに激しい言葉を浴びせかけるようになった。

引用元:「お前死ね、殺すぞ」深夜の連続コールにヘルパーブチ切れ

この事件は、施設側の対応が非難される一方で、夜勤時に何度もナースコールで呼び出された、ヘルパーに同情の声もあったようです。

認知症の方にイライラしてしまうのは、誰もが抱く感情なのですが、一線を超えてしまわないよう、病気からくる行動であることを理解する努力が必要ですね。

考え方をガラっと変える

「この人がいいたくて(やりたくて)いってる(やってる)んじゃない。病気がそうさせているんだ。」

これは、特別なことでも何でもない当たり前のことなのですが、この言葉を意識するとイライラする気持ちを減らすことができます。試してみてください。

また、認知症の方とのかかわりの中で、忘れてはいけないことは、あなたの「当たり前」を押し付けても何の意味もないということです。

真夜中に「そろそろ主人も帰って来るので、帰って夕飯作らなくちゃ。」という方に「あなたのご主人は、3年前に亡くなったんですよ。家に帰っても誰もいません。」といったところで、何の解決にもなりません。

正論で真っ向勝負していたら、間違いなくあなたの精神がボロボロになってしまいます。「何回も同じこと聞かないで!」「さっきもいったでしょ!」とイライラしながら答えたって、認知症の方は「さっき」を覚えていないのですから、イライラするだけあなたの損です。

頭の切り替えをしてみてください。認知症のその方の世界にあなたがお邪魔するのです。困っているその方と、一緒に困ってあげてください。そして、一緒に問題を解決してあげるのです。それだけで、あなたの気持ちは軽くなります。

まとめ

高齢者介護では、あなたの気持ちに波風を立てず平常心を保つことが重要になります。あなたがイライラすると、利用者様にあなたの負の感情があっという間に伝わります。結果的に、ケアに時間がかかってしまうことになるのです。

そして、今日取り上げた介護拒否、暴言・暴力、セクハラ行為、認知症の方の対応すべてに共通するキーポイントは、あなたの「演技力」です。

介護士は「演技力」がなければ勤まりません。「介護士=俳優」これは有名な話です。イライラしたときこそにっこり笑顔。慌てているときこそ余裕のあるふり。暴言を聞いているふりをして今晩のおかずを考えられるくらいの演技力です。

利用者様の全部を、あなたの全身で受け止める必要はありません。利用者様の「感情のジェットコースター」に一緒に乗る必要はないということです。一歩引いた場所から、第三者の目線を忘れずにケアにあたってくださいね。

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kaolin

今年で介護職歴20年目の介護福祉士です。 離婚後、無資格未経験で介護の世界に飛び込みました。 当時は、実務経験3年で介護福祉士の試験を受けられましたので受けてみたら一発合格できました。 老健・グループホーム・訪問・サ高住の経験があります。 3年前から障害者福祉の世界でサービス管理責任者をしています。 高齢者介護と障害者福祉の違いに悪戦苦闘していますが、仕事は常に楽しいと感じています。

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