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介護業界のニューウェーブ、「介護保険外サービス」の将来性について

投稿日:2018年7月23日 更新日:

1.介護保険は限られた財源や人材を意識することがますます求められていく

日本の介護保険制度は2000年に創設されましたが、創設当初は「制度あってサービスなし」などと言われ、まさに何もない状況でサービスを創るところからスタートしました。
その後、高齢化の進展に伴って利用者のニーズも増え、介護保険サービスの種類や量は右肩上がりで拡大してきました。

今後も、利用者の中心である75歳以上の高齢者が増加していくことが想定されているため、従来以上に介護保険サービスの充実が求められていくでしょう。

一方で、財源不足や人材不足といった課題も山積しており、直近の制度改正の動向からは、軽度者向けのサービスを中心に少しずつ給付を削ったり、高所得者を中心に少しずつ負担を増やしたりして、帳尻を合わせていく「ジリ貧」状態が当面継続することも想定されます。

このように、介護保険制度は今後ますますニーズが高まる中で、限られた財源や人材を強く意識することが求められるため、こうした環境下で如何に工夫を凝らして機能発揮していくかが問われていくことになるでしょう。

2.今後発展する可能性がある「介護保険外サービス」とは


こうした中で、介護分野の新たなソリューションとしての期待が高まっているのが「介護保険外サービス」です。
「介護保険外サービス」は、公的財源の影響を受けず、専門職不足による影響も受けにくいという特性を持っており、今後の発展が期待されています。

「介護保険外サービス」は、法令等に基づく明確な定義はありませんが、一般に公的介護保険が適用されない全額自己負担の介護等のサービスを指します。
今後、少子高齢化が進展し、シニア層やその家族のニーズが多様化していく際に、介護保険に加えて「介護保険外サービス」が拡充し、豊富な選択肢が提供されることは、非常に意義のあることです。

また、従来の世代に比べて消費文化を謳歌した団塊世代(第一次ベビーブームに生まれた世代を指し、厚生労働省が作成する「厚生労働白書」によれば1947~1949年生まれとされています)が今後高齢化することによって、自分のニーズに合致した付加価値の高いサービスに対価を払う消費者が増加することも想定されます。

更に、政府も閣議決文書にたびたび「介護保険外サービス」を取り上げ、普及に向けた取組みを推進してきました。
2016年3月には、厚生労働省、経済産業省、農林水産省が共同で「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集(保険外サービス活用ガイドブック)」を作成しました。シニア層のQOL(quality of life…生活の質)向上に資する「介護保険外サービス」を提供している事例を公表することで、活用促進を図ってきたのです。

このように「介護保険外サービス」の普及促進を政府が支援している背景の一つには、利用者の利便性向上だけでなく、介護業界の活性化という狙いがあります。
つまり、生産性の向上が課題とされている介護業界において、介護事業者が本業のノウハウを活かして周辺領域である「介護保険外サービス」の分野で事業展開することで、収益向上や介護人材の処遇改善に繋がっていくことを意図しているのです。

3.「介護保険外サービス」の実例


「介護保険外サービス」の具体的なサービスについて、いつくか実例をご紹介します。

(株)エス・ピー・アイの取り組み

体が不自由になることで、あきらめてしまう楽しみの一つに旅行があります。
「介護保険外サービス」では、介護が必要な方向けに、介護技術と旅の専門知識を併せ持つ介護旅行のプロが同行する介護旅行を提供するサービスがあります。
どのような状態になっても旅行に行けるというのは、旅行が趣味の高齢者にとっては大きな希望であり、このようなサービスの普及が期待されています。

参考サイト:
http://www.aelclub.com/

(株)資生堂ジャパンの取り組み

女性の高齢者は一度入院してしまうと、化粧をする習慣が途絶えるため、退院後も人と会うことが億劫になり、外出頻度が減少することで徐々に要介護状態に近づいていくと言われています。
「介護保険外サービス」では、女性の高齢者の外出へのモチベーションを高める目的で、身だしなみとしての化粧法を教えるサービスがあります。
このサービスを提供している会社によれば、化粧には認知症の周辺症状の緩和に効果があるという研究結果もあるようです。

(株)ホスピタリティワンの取り組み

訪問看護は、病気等で自宅療養する人に看護師等のケアスタッフが訪問し、療養生活の世話等を行うサービスですが、公的介護保険や医療保険の対象となる条件を満たさない場合であっても、自費によるサービス(=介護保険外サービス)が認められています。
訪問看護を提供する事業者にとっては、公定価格である介護報酬や診療報酬の改定で収益が左右されないため、安定的な収益が見込めるメリットがあり、「介護保険外サービス」の割合を増やしていく経営方針の事業者もいます。

参考サイト:
https://hospitality-one.co.jp/

以上、「介護保険外サービス」の実例の一部をご紹介しましたが、政府が公表している前述の「保険外サービス活用ガイドブック」に様々な事例が掲載されていますので、ご興味がある方はご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/guidebook-zentai.pdf

4.まとめ

財源不足や人材不足が今後の課題となっている介護業界ですが、公的財源の影響を受けず、専門職不足による影響も受けにくいという特性を持つ新たな「介護保険外サービス」の出現で、更なる活性化が期待できるでしょう。

実際に「介護保険外サービス」の事業分野に取り組む介護事業者も増えてきています。介護業界で仕事を探す際は、その企業が「介護保険外サービス」に取り組んでいるかという点に着目してみるのもよいかもしれません。

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